経験が積み上がらない社会で

就職・転職・再就職
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──求人票の数字が教えてくれたこと

再就職サイトを眺めていると、 どの求人も「総額21〜23万円」といった似たような数字が並んでいた。 年齢も、経験も、人生の厚みも、 まるで最初から“同じ枠”に押し込められているように見えた。

氷河期世代は、非正規の派遣や契約社員が多かった。 景気の波に合わせて切られ、 契約が終わればまた一からやり直し。 どれだけ働いても、 年数も経験も評価はリセットされ、 給料もリセットされる。

「積み上げる」という感覚が、そもそも存在しなかった。

それでも働き続けた人たちが、 再就職市場に戻ってきたときに目にするのが、 総額21〜23万円の横並びだ。

経験者でも未経験でも、 40代でも20代でも、 転職を重ねてきた人でも、 すべて同じ“枠”に吸い寄せられていく。

日本の再就職市場は、 まず 学歴で切り、年齢で切り、資格で切り、転職回数で切る。 そして残った人に、新卒並の給与を当てはめる。

経験は“積み上げ”ではなく、 “枠に合わせて削られる”ものとして扱われる。

一方で、アメリカなどではまったく逆だ。 転職を繰り返すほど経験が増え、 その経験がそのまま賃金に変換される。 別業種の経験でも、 スキルとして移植できれば評価される。

経験を積むほど価値が上がる社会。
経験を積むほど選択肢が減る社会。

この二つの違いを、求人票の数字が静かに示していた。

氷河期世代は、 非正規で働き、切られ、また働き、また切られ、 積み上げるはずの経験が積み上がらないまま年齢だけが増えていった。 そして今、再就職市場に戻ってきても、 評価はまた“ゼロ”から始まる。

では、経験を積んだ人は、 いったいどこへ向かえばいいのだろう。

その問いだけが、 総額21〜23万円という数字の横に残った。

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