──企業側の打開策はどこにあるのか
前回のエッセイを書いたあと、 ひとつだけ胸に残った問いがあった。
「私たち求職者には“選ばない”という選択肢しか思いつかない。 では、企業側の打開策はどこにあるのか。」
求人票の数字は、 求職者の人生だけでなく、 企業の未来も静かに映している。
総額21〜23万円。 経験不問。 年齢不問。
それらは、 私たちへの門戸が開かれているという意味ではない。
経験も年齢も“評価しない”という宣言だ。
そしてその結果、 企業は人が来ないと嘆き、 求職者は選べないと諦める。
まるで、 どちらも出口のない迷路に迷い込んだようだった。
◆ 企業側の“本音”と“現実”のズレ
企業の本音は単純だ。
- 若い方が安い
- 若い方が扱いやすい
- 若い方が社内文化に染めやすい
しかし現実は違う。
- 若い人は来ない
- 来てもすぐ辞める
- 氷河期世代は切られ続けてきた
- 中高年は評価されない
- それでも賃金テーブルは動かない
そんな時代じゃないのに、構造だけが昔のまま残っている。
横並びで高いならまだ理解できる。 だが横並びで“低い”のだから、 人が来るはずがない。
◆ 企業側の打開策は、実は三つしかない
企業が本当に人を確保したいなら、 どれかを変えるしかない。
- 賃金テーブルを壊す
- 経験値をスキルとして評価する
- 年齢フィルターを捨てる
しかし、どれも簡単ではない。
賃金テーブルを壊せば、 既存社員の給与も見直さなければならない。 経験値を評価すれば、 採用の手間もコストも増える。 年齢フィルターを捨てれば、 管理が複雑になる。
だから企業は、 変わらない方が“楽” なのだ。
その結果、 横並びの低賃金が続き、 経験値は評価されず、 氷河期世代は積み上げても積み上がらないまま、 再び“年齢で切られる”。
◆ それでも、変わらざるを得ない時代が来ている
人口は減り、 若者は減り、 採用市場は縮み続けている。
企業がどれだけ「若い人が欲しい」と願っても、 もうその願いは叶わない。
若者がいないのだから。
だから本当の打開策は、 企業が“欲しい人材”を探すことではなく、
“来てくれた人材” を評価する仕組みに変えること だ。
経験を評価し、 年齢を評価し、 人生の厚みを価値として扱う。
それができなければ、 企業はこれからも人手不足に悩み続ける。
◆ 終章
では、企業はいつその変化を選ぶのだろう。 人が来なくなったときか。 事業が回らなくなったときか。 それとも、 横並びの21〜23万円という数字が 誰にも見向きされなくなったときか。
その答えは、 求人票の数字の向こう側に、 まだ静かに置かれたままだ。


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