【2026年10月振り返り】「令和の米騒動」とは何だったのか?

スポンサーリンク

—高騰・暴落・米離れの裏で踏みにじられたプロ農家のリアル—

2024年夏の「米がスーパーから消えた」騒動から2年。2026年10月現在、米の流通と価格を巡る混乱は、新しい局面を迎えつつも後味の悪い課題を残したままです。

「新米が出れば落ち着く」「豊作になれば安くなる」と言われ続けてきましたが、現実に起きたのは空前の高止まりによる需要の破壊(米離れ)と、その反動として押し寄せた過酷な暴落・買い叩きでした。

親も親戚から2025年の新米は30kg当たり23000円という驚きの価格で何俵か買ったのを覚えていますし、私自身も備蓄米を買いにスーパーをハシゴしたものです。

2026年の新米も出そろったきましたので、今回は現場のリアルな数字と構造的欠陥から、今回の「米騒動」の本当の姿を振り返ります。

スポンサーリンク

1. 豊作なのに高止まりした「1俵2万円」の幻影

2024年から2025年にかけて、米の価格は急高騰しました。「生産コスト(60kgあたり約2万円)がかかっているから適正価格だ」「農家を守るためだ」という説明が繰り返され、店頭には5kgで3,500円を超える米が並びました。

しかし、この「生産コスト2万円」という数字自体、非常に曖昧なものです。

地方の現場を見れば、数反ほどの田んぼのために数百万円の小型トラクターやコンバインを個人で所有し、育苗も乾燥も籾摺りも外注する小規模な兼業農家が多く存在します。先祖代々の土地を守るため、自分や親戚の食べる分を確保するための「土地の維持費(自己満足)」とも言える費用まで全て米代に転嫁すれば、確かに1俵2万円という数字になってしまいます。

一方、規模を集約して合理的な経営をしている大規模プロ農家なら、30kgを7,000円(1俵1万4,000円)程度で出しても十分に採算が取れます。

「安く作れるプロの技術」ではなく、「最も効率の悪い小規模構造のコスト」を基準に据えて市場価格を吊り上げた結果、一番割を食ったのは「高すぎて買えない」と米離れを起こした消費者でした。

2. 一転して2026年の「概算金4割引き下げ」と現場の悲鳴

高騰による「米離れ」で在庫がだぶつき始めると、市場は一転して冷え込みました。

2026年秋、農協(JA)が農家に提示する概算金(仮払い金)は、前年の過去最高水準から一気に3〜4割も引き下げられました。

農家を守るとは何だったのか、概算金の本来の仕組みはどうなっているのか、、

高値のときに「需要が壊れること」よりも「自社の赤字や過払い回収不能リスク」を恐れたJAや卸業者が、一斉に安全圏へ避難した形です。農家を守ると言いながら、実際に暴落の波が来るとリスクを一番弱い現場に丸投げする姿勢に、組織のチグハグさが浮き彫りになりました。

3. 叩き売られる新米と、ディスカウントストアの「5kg 1,980円」

さらに悲劇的だったのは、JAに依存せず自立を目指してきたプロの大規模農家たちです。

  • 行き場を失う新米:前年の高騰で在庫(古米)が倉庫に残っている大型農家は、今年の新米を入れるスペースがありません。
  • JAの集荷制限と民間の買い叩き:JAはリスクを恐れて買取枠を絞り、民間業者の方は足元を見て1俵(60kg)1万1,000円という足元を見透かした暴落価格を突きつけていると聞きます。

直売所や小口の個人販売では捌ききれない何百トンという米を抱えるプロ農家は、資金繰りと倉庫を空けるために、泣く泣く格安で手放すしかありませんでした。

ディスカウントストアの店頭で並ぶ「精米済み新米 5kg 1,980円(税別)」。 一見すると「安くなって良かった」と思える数字ですが、その裏には「保管場所がなく、薄利・赤字で処分せざるを得なかったプロ農家の悲鳴」がしっかりと乗っかっています。

4. 結び:主食を野放しにしたツケとこれからの課題

「米が安くなった」と言われても、数年前まで30kgを7,000円や8,000円で買い、古々米なら3,000円で分けてもらえた感覚からすれば、現在の相場はまだまだ高値感があります。それでいて、作っているプロの現場にはお金が回っていません。

便乗値上げのムードと先物取引の思惑に飲み込まれ、卸も流通も「目の前の自社の赤字回避」のために走り続けた結果、市場全体の需要を破壊し、最前線の生産者を疲弊させました。

国が米を「主食」と位置付けるのであれば、野放しのマネーゲームや過度な乱高下に任せるのではなく、生産現場のプロが適正に潤い、消費者が安心して買える仕組みを本気で構築すべきだったのではないでしょうか。

2026年10月。今回の米騒動が残した教訓は、あまりにも重いものです。

\ 最新情報をチェック /

コメント

トップへ戻る