求人票を眺めて気づいた“逆転現象”

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数字だけで見える、産業の勝ち負け

何気なく求人ページを眺めていたとき、胸の奥に小さな違和感が残った。

整備士二級の募集が、どのディーラーも20〜25万円前後で横並びになっている。
資格必須で、責任も重く、技術更新も必要。
それでも賃金はほとんど動かない。
まるで“文化”で固定されているかのように見えた。

そのすぐ下に、ダンボール工場の求人が並んでいた。
25〜29万円。残業なし。休みは多め。資格不要。
夏場は地獄の暑さで、2Lのペットボトルが2本支給されるらしい。
もちろん楽な仕事ではない。
それでも、求人票の数字だけを見れば整備士より条件が上に見える。

この瞬間、違和感は確信に変わった。
数字だけで、産業の勝ち負けが見えてしまう。

ディーラーの給与は「残業込み」でやっと並ぶ

整備士の給与は、実際には“残業込みでやっと段ボール工場に並ぶ”構造になっている。

  • 営業時間が長い
  • 土日祝が繁忙
  • 月の休日数が少ない
  • 車検・納車・点検は時間が読めない
  • 事故修理やクレーム対応は夜に回りやすい

つまり、残業しないと仕事が終わらない働き方になりやすい。

そして残業してやっと、工場の25〜29万円に近づく。
一方で工場は、残業なし・資格不要で25〜29万円。

求人票の数字だけでも差は見える。
しかし、その裏にある“隠れた労働量”まで含めると、差はさらに大きくなる。

なぜ逆転が起きたのか

本来なら、
「資格職 > 無資格職」
という賃金構造になっていてもおかしくない。

しかし現実には、そうなっていない。

  • 整備士:終身雇用文化や賃金テーブルの固定
  • 工場:人手不足や需要増による賃金上昇

整備士の賃金は、文化で固定されやすい。
工場の賃金は、市場原理で動きやすい。

その違いが、求人票の数字にそのまま表れている。

再就職で悩む人ほど、この数字に敏感になる

40代、50代、60代。
家族がいて、住宅ローンがあって、身体の無理も効きにくくなってくる。
そうした世代ほど、求人票を「理想」ではなく「生活を守れるか」で見るようになる。

  • 残業前提で20〜24万円
  • 残業なしで25〜29万円

この差は、単なる条件の違いではない。
人生の選択に直結する数字だ。

そしてこれは、整備士だけの話ではない。
資格を持っていても別の仕事へ移る人が増えている理由は、求人票の数字だけでもある程度説明できてしまう。

産業としての未来予測

この数字の差は、単なる求人票の違いではない。
産業としての未来の差でもある。

  • 現状維持が目的になり、賃金を上げられず、経験者が離れ、若者も来ない産業
  • 需要に押され、賃金を上げ、市場原理に従って人を確保しようとする産業

文化で賃金を決める産業は衰退し、
市場原理で賃金を決める産業が生き残る。

求人票の数字は、その未来を静かに示しているのではないだろうか。

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