娘が介護のアルバイトをしていることもあり、 どうしても介護関係の求人票には敏感になる。
そんな中で、ある求人票を見ていて、 ふと胸の奥に“ざらつき”のような違和感が残った。
基本給:139,000円。 特殊業務手当:20,000円。処遇改善手当:20,000円。
……ん? これだと、最低賃金を割っていないか。
私の住む県の最低賃金は、すでに 1,070円を超えている。 フルタイム換算すれば、月額は軽く 17 万円台に乗る。 だが求人票の基本給は、それを大きく下回っている。
調べてみると、処遇改善加算という制度は
- 取得した加算額の全額を従業員の賃金改善に使うこと
- そのうち半分以上は「月額賃金(基本給や毎月の手当)」に使うこと
と明確に書かれている。
一見すると、
「おお、ちゃんと介護現場の職員のために使われる仕組みなんだな」
と思える。
だが、現実の求人票を見ていると、どうにも腑に落ちない。
基本給は最低賃金以下へ押し下げ、 処遇改善手当で“最低賃金を満たしたことにする”。
これが、本当に“処遇改善”と言えるのだろうか。
制度の目的は「介護職員の待遇改善」だ。 しかし実態は、
- 基本給は上げない
- 手当で調整する
- ボーナスにまで振り分けて“改善したことにする”
- 事業所の裁量で配分が決まる
- 透明性はほぼゼロ
という、なんとも言えない構造になっている。
国は「改善した」と言いたい。 事業所は「固定費を増やしたくない」。 現場は「何も変わらない」。
この三者の思惑が、 まるで歯車が噛み合わないまま空回りしているように見える。
そして最終的に残るのは、
“知らない方が悪い” “働く方が悪い”
という空気だけだ。
これでは人手不足が解決するはずがない。
制度の理念と現場の実態の間にある、 この“静かな断絶”。
娘のアルバイトをきっかけに、 そんな介護業界の闇の一端を見た気がした。


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