「脊柱管狭窄症の症状がつらい…」
「健康になって今までの生活を取り戻したい…」
そう思って大病院の脊椎専門医を受診したものの、医師から返ってきたのは予想外の言葉でした。
「リスクが大きいので、手術は見送りましょう。悪化するまでは薬物療法(保存療法)で行きます」
痛みが消えるわけでもなく、「じゃあ自分はこの足の痺れや歩行困難と一生このまま付き合うしかないのか…」と絶望的な気持ちになるかもしれません。
ですが、実はこの「手術を見送られた」という瞬間こそが、ある制度の対象になる大きな転換点なのだと気が付いたのです。
この記事では、私が体験した「手術拒否から障害者手帳の申請条件に気づくまでのプロセス」と、知っておくべきポイントを解説します。
1. 「手術で治せない」=「症状固定」の証明になる
身体障害者手帳の交付を受けるための絶対条件。それは「症状が永続的であり、回復の見込みがないこと(症状固定)」です。少し踏み込んで言うと手術で改善できる可能性があるなら対象ではないとも受け取れます。
多くの人はこう考えがちです。
- 「自分はまだ車椅子じゃないから無理だ」
- 「歩ける時間もあるし、手帳なんて大げさだ」
しかし、制度上の本質は違います。
専門医がリスクを考慮して「手術という選択肢を取らない(保存療法にする)」と判断した時点で、医学的に「これ以上の治療による劇的な改善は見込めない状態」であることが証明されたことになります。
つまり、「手術を断られた」ということ自体が、手帳の要件を満たす強力な根拠になるのです。
2. 実は多い!見落としがちな「5級・6級」のライン
「障害者手帳」と聞くと1級や2級のような重度をイメージするかもしれませんが、肢体不自由には3級や5級といった等級が存在します。
例えば、脊柱管狭窄症による歩行障害の場合:
- 数百メートル(あるいは100m程度)歩くと足が痺れて歩けなくなり、休むとまた歩ける(神経性の間欠性跛行)
- 階段の上り下りや長時間の起立位が著しく制限されている
歩き続けることが出来ない、立ちっぱなしが出来ない、こうした日常生活のリアルな制限が、省庁の定める判定基準(5級以上など)にしっかり合致するケースは少なくありません。「自分は対象外だ」と思い込んでいるだけで、調べてみると条件をクリアしていることは多々あります。
3. カギを握るのは「15条指定医」の存在
手帳の申請に必要な診断書は、どの医師でも書けるわけではありません。身体障害者福祉法第15条に基づき都道府県知事から指定を受けた「15条指定医」である必要があります。
私の場合、幸いにも受診していた大病院の脊椎専門医がこの「15条指定医」でした。
大病院の専門医であれば、症例数も多く制度にも精通しているため話がスムーズです。
- 専門医による判断: リスク考慮により手術は見送り(保存療法)
- 制度上の判定: 治癒不能=「症状固定」の確定
- 指定医の資格: 申請用診断書を直接作成可能
この3つが揃ったことで、手帳申請へのロードマップが一気に繋がりました。
まとめ:諦める前に「制度の基準」をチェックしてみよう
病院で「手術はできません」「保存療法で様子を見ましょう」と言われると、見捨てられたような虚しさを感じるかもしれません。
今回の記事は、もともと「手術をして健康になろう」と意気込んで受診した私が、医師の言葉を受けて「今の自分の状態を受け止めよう」と気持ちを整理していたプロセスの中で気づいたことから始まりました。
医療で治せない状態であれば、それは決して「諦め」ではなく、「社会の制度を使ってこれからの生活を守るフェーズに入った」ということです。
「5級程度の手帳を取ったところで、何か意味があるのだろうか?」
と思う方もいるかもしれません。しかし、実際に調べてみると、税制上の優遇や各種割引など、5級であっても日々の生活を支えてくれる十分なメリットや価値があると私は判断しました。重度の1級・2級とは違った形であっても、確実に生活の助けになってくれます。
もしあなたやご家族が、脊柱管狭窄症などの持病で「手術を見送られた」「これ以上治らないと言われた」のであれば、ぜひ一度、お住まいの自治体の手帳基準や主治医が「15条指定医」かどうかを確認してみてください。
諦めずに一歩踏み込んで調べたことが、きっとこれからの生活を守る大きな安心に繋がるはずです。
次回予告(続編について)
次回は、実際に自治体や病院でどのような手順を踏んで申請を進めていくかという「実践編」をお届けする予定です。
また、手帳とは別に知っておくべき「障害年金」についても、別枠で詳しく触れていきたいと思います。


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