高校三年生は就活や進学で大騒ぎの日々だ。毎年のインターンだけでなく会社説明会も幾度となく行われたし、就活組の夏休みは大忙しだそうだ。
大学進学を決めた娘は少し落ち着いて見えてくる、そんな娘の高校生活を見守りながら、ふと自分の若い頃のことを思い出す。 あの頃は、どこに就職しても「まあなんとかなるだろう」という空気がまだ残っていた。 みんながなんとなく中流で、給料も物価も、ゆっくりとしか動かなかった時代だ。
でも今は違う。 物価は上がり続け、給料は追いつかず、社会保険料は重くのしかかる。
そして、日々のニュースを見ていて、思うところはないだろうか。
- 何かあるたびに値上げする
- とても簡単に価格転嫁する
- そして上がった値段は二度と下がらない
買い控えやボイコットの声が起きても、企業は平然とし、 むしろ過去最高益を更新し続ける。
消費者として見ていると、正直、悲しさしかない。 でもこれが、就職先として考えると話はまったく違う。
◆ 「価格決定権」という、人生の安全装置
私が娘に大学進学を推した理由のひとつは、 価格決定権を持つ企業に行ける選択肢を増やしたかったから だ。
価格決定権と聞くと、なんだか大げさに聞こえるかもしれない。 でも実際は、とてもシンプルな話だ。
値上げしても客が離れない企業。 それが価格決定権を持つ企業。
物価高でも、増税でも、賃上げでも、 彼らはすべてを値上げで回避できる。
- 原価高 → 値上げ
- 賃上げ → 値上げ
- 社保負担増 → 値上げ
- 円安 → 値上げ
- 物流費高 → 値上げ
そして、値上げしてもビクともしない。 むしろ利益が増えることすらある。
これが “勝ち組企業” の正体だ。
◆ 中小企業にはほとんど存在しない「価格決定権」
私が働いてきた世界──中古車販売、整備、店舗管理。 そこには価格決定権なんてものはなかった。
- 値上げしたら客が来ない
- 賃上げしたら会社が死ぬ
- 社保負担が重い
- 消費税で利益が消える
- 物価高で原価が上がる
- 利上げで資金繰りが苦しくなる
つまり、 痛みを全部自分で受けるしかない世界 だった。
だからこそ、娘には違う世界を見せてやりたかった。
◆ 消費者としては悲しい。 でも、親としては心強い。
日々の値上げニュースを見るたびに、 「またか…」とため息が出る。
でも、娘の就職先として考えると、 その“値上げしても揺るがない強さ”は、 人生の安全装置 になる。
- 景気に左右されにくい
- 給料が安定している
- 賃上げがある
- 福利厚生が厚い
- 倒産しにくい
つまり、 外部環境に強い企業に行けるかどうかで、人生の安定度がまるで違う。
私はそれを、現場で身をもって知っている。
◆ だから私は、娘に「価格決定権企業」という選択肢を持たせたかった
これは、学歴信仰でも見栄でもない。 構造を理解したうえでの、親としての願い だ。
消費者としては悲しい。 でも、娘の未来を考えると心強い。
そんな矛盾を抱えながら、 私は今日も娘の将来への話を聞いている。


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